【やめとけ!】公務員が不動産投資で法人化するのは可能?

投資

こういったお悩みにお答えします。

不動産投資を行っていて、節税などのために法人化を検討する方もいるでしょう。しかし、違法行為との線引きをしっかり理解しておかないと懲戒処分の対象になりかねません。

実際に過去には処分されてしまった公務員も…。

この記事では、公務員歴10年の【元】公務員である筆者が

これらについて解説していくので、最後まで読むと公務員が法人化するリスクについて理解し、法理の範囲内で安心して不動産投資を始める方法がわかります。

公務員が不動産するメリットや注意点については以下の記事で詳しく解説しています。

>>公務員は不動産投資してOK!副業にならない注意点も解説

はじめに結論ですが、不動産投資で法人化するのはリスクが大きすぎてまったくおすすめできません。ネット上の無責任な情報を鵜呑みにしないよう気をつけたいですね。

公務員からの退職を検討している人は、以下の記事も合わせてお読みください。

公務員制度の問題点や将来ブラック化してしまう公務員の労働環境について、約1万2千文字で解説しています。

【やめとけ!】公務員が不動産投資で法人化するのは可能?


公務員自身が資産管理法人(あなたの不動産を管理する会社)を設立するのは違法行為になってしまいます。

関係法令のかかわりを一つずつ見ていきましょう。

国家公務員法第103条

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

国家公務員法第104条

職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

地方公務員法第38条

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

このような内容でした。

国家公務員法第103条では営利企業を自身で営んだり、役員になったりすることが禁じられています。この第103条には『報酬の有無』に関する記載がないことも合わせて要チェック。

『無報酬ならいいのでは』と誤解している人もいますが、これはあくまで第104条の営利企業以外の役員などの話。

営利目的の資産管理法人を設立する場合は、第103条により無報酬でも役員になったらアウトだということは覚えておきましょう。

地方公務員に関しては、『任命権者の許可を受けなければダメ』という記載になっています。とはいえ『節税したいんで、不動産会社を興したいんです』と申請して知事から許可が出るわけもありません。

許可がなければもちろん違法。事実上は国家公務員と同じように考えておいてよさそうです。

代表者を家族名義にしても違法になる場合あり


『自分で法人化できないなら、家族名義でやればいいじゃん』と考える方もいるでしょう。実際、そのやり方をすすめているネット上の記事なども散見されます。

しかし、このやり方はかなりリスキー。とてもおすすめできるような方法ではありません。

この問題に関しても、はじめに関係法令を見てみましょう。

人事院規則14-8の運用では

 「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。

このような記載があります。

※国家公務員法第103条に関連して人事院規則第14-8が制定されており、さらにその運用として存在するのがこの『人事院規則14-8の運用』です。ややこしいですね。

この運用によると、他人名義ならOKというわけではないとおわかりいただけるでしょう。公務員であるあなたが『営利企業を営むものと客観的に判断される』かどうかが焦点になります。

株式の大半は公務員が保有するケースが多い

家族名義で資産管理法人を設立する場合、株式の大半~すべてを公務員のあなたが保有するケースが多いです。

理由は簡単で、銀行の融資を受けやすくするため。他に収入のないあなたの両親や配偶者を株主に据えてしまうと、公務員の信用を使って銀行と交渉することができません。

さて、この状況が客観的にどう見えるかが問題です。

    あなたが発起人となって資産管理法人を設立。代表者の名義はあなたの家族。株式の大半(orすべて)はあなたが所有している。

あなたが営利企業を営むものと客観的に判断されるでしょうか?

私の感覚では完全に黒ですが、これは人によって解釈が異なるでしょう。違法だと断言はできませんが、あまりにもリスキーではないでしょうか。

代表者を家族名義にしても懲戒処分を受けた事例


資産管理法人の代表者が家族名義でも、職場にバレて懲戒処分を受けた事例があります。

仙台市は8日、不動産賃貸業を実質的に営み、副業を禁止する地方公務員法に違反したとして市納税部の40代の男性職員を減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にした。男性職員は2008年、市内のアパート3棟を購入し、年間約600万〜700万円の賃料収入を得ていた。

 市によると、男性職員は「資産運用のつもりだった。副業には当たらないと思った」などと話している。16年3月には発起人となって不動産会社を設立。母親を代表者に据え、実質的に経営していたという。
出典元:千葉日報

母親名義の不動産会社を『実質的に経営している』と判断されて懲戒処分になった事例です。

この職員がどのくらいの株式を保有していたのか・どの程度経営に関わっていたのかはわかりませんが、『家族名義なら大丈夫』という考えは通用しません。

家族名義で法人化する場合も、バレれば懲戒処分されてしまうことは覚悟しておきましょう。

リスキーな法人化はせずに、法律の範囲で不動産投資をしよう


ここまで不動産投資の法人化について解説してきましたが、これから不動産投資を始めようと考えている方は個人のままで運用することをおすすめします。

節税の幅が狭いなどのデメリットはありますが

  • 家屋:5棟未満、部屋:10室未満
  • 駐車台数:10台未満
  • 賃貸収入:500万円未満
  • 不動産の管理を委託している
  • 事業との間に利害関係がない

これらに該当する範囲であれば完全に合法。所属への許可や届出すら不要です。

まずは小規模に低リスクで不動産投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

すでに始まっている”公務員の泥船化”


公務員の労働環境は今後どんどんブラック化していきます。

  • あいつ俺より働いてないのに給料は俺より上…やってらんね~よ
  • 俺の仕事、周りと比べてやたら多くないか!?

こんなふうに思ったことがある人は要注意。このまま働き続けていると、あなたをとりまく労働環境の悪化によって心身の健康を損ね、人生が台無しになってしまうかもしれません。

公務員組織からは優秀な人材がどんどん流出していき、もはや沈みゆく船。あなたはこの泥船とどのように付き合っていきますか?

詳しくは下記のnoteをお読みください。約1万2千字で公務員の将来像についてガッツリと解説しています。

泥船と知りつつこの船に乗り続けるのか、それとも逃げ出すのか…その判断をする一助になれば幸いです。

『公務員が不動産投資で法人化するのは可能?』のまとめ

  • 自分の名義で法人化するのは違法
  • 家族名義でもバレて懲戒処分になった事例あり
  • 個人として小規模に投資を始めるのがおすすめ

ここまでお読みいただきありがとうございました!