【辞令交付前のみ】公務員は退職願を撤回・取り消しできる
こういったお悩みにお答えします。
退職願は非常に重い書類のため、考え抜いたうえで提出する人がほとんどでしょう。しかし提出後になんらかの理由で撤回したくなることもあるかもしれません。
そんなときに撤回が可能なのかどうか知らないと、人生の選択が大きく変わってしまう可能性も。
この記事では
これらについて解説していくので、最後まで読むと退職願の撤回に関する注意点がわかります。
なるべく早めに申し出ましょう
公務員からの退職を検討している人は以下の記事も合わせてお読みください。公務員退職の現状に関する知識から実際の退職手続きまでを1記事で網羅的に理解できます。
【辞令交付前のみ】公務員は退職願を撤回・取り消しできる
公務員がすでに提出した退職願を撤回するのは、辞令の交付前であれば基本的に可能です。
退職願の取り扱いについては人事院規則8-12 第51条で
任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
とされており、民間企業と違って任命権者の承認が必要になっています。
肝心の”撤回が可能なタイミング”ですが、過去の判例では
公務員の退職願の撤回は、免職辞令の交付があるまでは、原則として自由であるが、辞令交付前においても、これを撤回することが信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には、撤回は許されないものと解すべきである。
出典元:裁判所
このように判断されています。
公務員が退職願を提出してから任命権者が承認し、辞令が交付されるまでには必ずタイムラグが発生します。組織や提出時期にもよりますが、1週間~10日程度かかるのが一般的ではないでしょうか。その間であれば、基本的には撤回が認められると考えられます。
ただし退職願を出した職員からは手続きの進行状況がわからないため、もし撤回するのであれば可能な限り早く申請しましょう。その際も口頭ではなく書面で提出するのがおすすめです。
慎重な判断が求められます
参考:民間企業では撤回が基本的に不可能
これが民間企業の社員であれば、強制や勘違いによるものでなければ基本的には撤回できません。提出する書類が”退職届”であるため、使用者(会社)が受理した段階で有効になってしまいます。
公務員が提出するのが退職”願”であり任命権者の承認が必要だからこそ、そのタイムラグを利用して撤回することが可能なんですね。
辞令交付前でも公務員の退職願の撤回が認められなかった事例
交付辞令前であればどのような場合でも退職願の撤回が可能、というわけではありません。1974年には宮崎県職員の退職願に関する撤回請求が認められなかった事例も。
退職願を撤回することは、退職願提出者に対し依願免職の辞令が送達されるまでは時期的には原則として自由であると解せられるけれども、無制限に撤回が認められるとすれば場合により信義に反する退職願の撤回によつて、退職願の提出を前提として進められた爾後の手続がすべて徒労に帰し、個人の恣意により行政秩序が犠牲に供される結果となるので、免職辞令交付前においても、退職願を撤回することが信義に反すると認められる特段の事情がある場合にはその撤回は許されないものと解するのが相当である。
出典元:労働基準判例検索-全情報
考え方は上記のとおり。簡単にまとめると
- 退職願は辞令交付前なら基本的に撤回できるけど、かといって無制限に撤回していいことにはならないよね。信義に反する場合は撤回が認められないよ。
という内容です。
ポイントですね
かなり特殊な事例で、退職に至るまでの経緯は以下のような流れだったようです(労働基準判例検索-全情報をもとに作成)。
- 船での実習航海中に該当職員(A)が喧嘩
- 周りから退職願を出すように説得される
- Aが退職願提出
- 組織はAの後任者選定など諸手続き
- (一週間以上経過後)Aが退職願の撤回を申し出る
そもそも実習中の喧嘩が分限免職に該当するのでは、という考えもあり「組織としては退職願の撤回は予想できないだろう」という点も考慮されたようです。撤回を申し入れたタイミングではすでに後任者が決まっていたこともあり
- 手続きにかかった労力がムダになってしまう
- 何も悪くない後任者に迷惑がかかる
これらの理由から退職願の撤回が棄却されました。
- 喧嘩などのトラブルを起こしていない通常の職員の場合は?
- 撤回の申し入れがもっと早かったら?
こういった場合はどのように判断されるかわかりませんが、いずれにせよ辞令交付前であっても信義則に反する退職願の撤回は認められないということですね。
万が一、あなたが退職願を撤回することになったら可能な限り早く申し出ましょう。後任者が決まり、退職願の撤回によりその相手に迷惑がかかるような段階だと、辞令交付前でも撤回が認められない可能性があります。
自己都合での撤回は著しく信用を損なう
退職願はあなたの一生を左右するくらいの、とても重要な書類です。軽々しく提出・撤回したとあっては、あなたに対する信用が著しく下がってしまうでしょう。
“職員が退職願を提出する”というのは組織にとって一大事です。
退職に伴いさまざまな手続きが必要になるため、関係部署の職員は作業を進めていくはず。もし撤回されてしまえば、それらの作業もすべてムダになってしまいます。
組織から強硬に引き止められて退職願を撤回した、くらいなら許容されるかもしれませんが「どうせ撤回できるから」と軽く考えて提出することは絶対に避けましょう。
退職を撤回できた場合も、「あいつは以前辞めようとしたヤツだ」という目で見られてしまいますしね。
公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法
残念ですが、公務員という安定していない職業を選んだ人は、今後どんどん悪化していく労働環境と向き合っていかなくてはなりません。公務員はもはや「沈みゆく泥船」なのです。
- ほとんど仕事をしてない人が高給取りなのはおかしい
- 割り当てられる仕事量が、周りと比べてやたら多く感じる
- 古くて非合理的な仕組みが多く、やりがいを感じられない
こんなふうに思ったことがある人は特に要注意。このまま思考停止で働き続けていると、悪化していく労働環境に押しつぶされ精神を病むなど人生が台無しになってしまうかもしれません。
筆者も以前は公務員が泥船であることに気づかず、「定年まで公務員なんだろう」と思考停止で過ごしていました。組織への不満や理不尽さにモヤモヤを感じながらも「社会ってこんなもん」と自分を納得させながら過ごす日々。
しかし、ある年の人事異動により状況が激変しました。理不尽な業務量により忙殺される毎日が始まったのです。周囲からの助けや理解も得られず、「なんで自分だけこんな目に合うんだろう…」とひとりで悩み続けていました。
そんな生活を続けるうち「このままでは、自分の心身が壊れてしまう」と強い危機感を抱き、自分の身を守るために行動を始め、公務員を退職するに至ったのです。
もしあのまま思考停止で公務員生活を続けていたら、今頃はどうなっていたかわかりません。かなりの高確率でうつ病などを発症していたのではないでしょうか。
公務員を退職した今では、フリーランスのブロガー・ライターとして楽しくお金を稼ぎながらストレスのない生活を送っています。
ここで提案なのですが、あなたも今から対策を打っておきませんか?
あらかじめ準備をしておくことで、いざというときに選択肢を増やすことができます。精神的に追い詰められてなお公務員にしがみつき、心身の健康を損なってしまう…そんな最悪の未来を避けることができるでしょう。
各種法令による制限を受けている公務員ですが、在職中でも自分の身を守るために打てる手はあります。
- 筆者が脱公務員を意識するようになってから始めたこと
- 在職中は知識不足で始められず、退職後に後悔していること
下記のnote記事ではこれらについて紹介しているので、「公務員生活に不満はあるが、なにをすればいいかわからない」という人も行動を始めやすくなるでしょう。
- 記事の前半:公務員組織の現状と将来予測
- 記事の後半:在職中の公務員が今日から取るべき対策
記事はこのような二部構成になっています。もともとは別の記事としてリリースする予定だったものを1本にギュッとまとめました(その結果としてかなりの大ボリュームに…)。前半の情報が頭に入っていないと、後半の「対策」に取り組む人の割合がガクっと下がってしまうと考えたためです。
記事の執筆にあたっては、信頼できる公的資料をベースにするのはもちろんのこと
- 元公務員として、内側からの視点
- フリーランスとして、外側からの視点
この両面から分析することではじめて見えてきた内容を数多く記載しています。まずは前半部分で、あなたを取り巻く職場環境がなぜ悪化していくのかを把握してください。そのうえで、後半部分で解説している対策に取り掛かるのがおすすめです。
「泥船」という例えのとおり、行動を起こすのも実際に逃げ出すのも早い者勝ちです。早期に行動を始めることで、半年後・一年後には周りの職員と大きな差をつけることができるでしょう。
note記事の冒頭部分(2,000文字以上)は無料で読めるため、気になった人は一度ご確認ください。
※販売部数が増えるごとに値上げしていく予定なので(購入していただいた方に申し訳ないので、値下げは絶対にしません)、購読するならお早めにどうぞ。
『【辞令交付前のみ】公務員は退職願を撤回・取り消しできる』のまとめ
- 辞令交付前なら基本的に退職願の撤回は可能
- 信義則に反する場合は認められない可能性があるので注意
- 撤回するとあなたの信用度も著しく下がってしまう
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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