「どんどん増えてる…」公務員の離職率理由別ランキング!

退職

こういったお悩みにお答えします。

若手を中心に、公務員から離職する職員は年々増えています。なぜこんなことになっているのか、その理由をしっかり把握しておかないとあなた自身の就職や転職にあたって間違った選択をしてしまう可能性も…。

この記事では

これらについて解説していくので、最後まで読むと公務員の離職率の増加っぷりやその理由がわかります。

今後、公務員の大量退職は
ますます激化していくでしょう

公務員からの退職を検討している人は以下の記事も合わせてお読みください。公務員退職の現状に関する知識から実際の退職手続きまでを1記事で網羅的に理解できます。

【過去5年間】国家公務員・地方公務員の離職率

年度H30R元R2R3R4
国家公務員
離職率
6.3%6.5%6.9%7.0%7.5%
地方公務員
離職率
4.7%4.7%4.6%4.6%5.0%
※参考
民間企業離職率
15.6%13.9%13.9%15.0%15.4%

一般職の国家公務員の任用状況調査地方公務員の退職状況等調査地方公共団体の職員数雇用動向調査結果の概要を参考に作成

国家公務員・地方公務員ともに、離職率は民間企業と比べると非常に低い水準で推移しています。「公務員は離職率が低い」という世間一般のイメージは正しいようです。

終身雇用制度ではない企業も多いので
公務員の離職率が低いのは当然です

しかしR3 ⇒ R4にかけて国家公務員・地方公務員ともに離職率が増加しているのは気になるポイント。

  • 国家公務員:7.0% ⇒ 7.5%
  • 地方公務員:4.6% ⇒ 5.0%

上の表だけでは読み取れませんが、年齢別に細かくデータを確認すると20代若手職員の離職者数が10年前の3倍にまで激増しています。

全体の離職率にはそれほど大きく影響していないものの、今後の推移が非常に気になりますね。

国家公務員・地方公務員の離職率:理由別ランキング


上で紹介した離職率はいずれも定年退職を含んだ数値でした。続いて退職理由別の内訳を見ていきましょう。

離職理由割合(人数)
国家公務員
割合(人数)
地方公務員
辞職(自己都合退職)47.3%(10,031人)38.4%(49,767人)
定年退職26.4%(5,593人)51.8%(67,207人)
死亡1.2%(249人)1.2%(1,591人)
懲戒免職0.1%(15人)0.3%(347人)
分限免職0.05%(10人)0.2%(207人)
失職0.01%(3人)0.01%(34人)

※早期退職・勧奨退職・任期満了などは除いています。一般職の国家公務員の任用状況調査地方公務員の退職状況等調査を基に作成。

国家公務員と地方公務員で定年退職者と自己都合退職者の割合が大きく違うのが驚きですね。国家公務員は地方公務員と比べて、自己都合退職する職員の割合が著しく多いです。

「国家公務員のほうが労働環境が厳しいため、自己都合で辞めていく職員が多い」ということなのでしょうか。「霞が関で働いている国家公務員は激務である」ということは公務員なら誰でも知っている話。自己都合退職者が多くても、それほど意外ではないのかもしれません。

自己都合退職の理由も詳しく知りたいところですが、残念ながら不明。書類上は”一身上の都合”として一括で処理されるため、そもそも内訳データが存在しないでしょう。

【1,085人】地方公務員の退職理由アンケート結果


国家公務員よりも離職率が低い地方公務員ですが、いわゆる「退職予備軍」がたくさんいることが地方公務員退職理由アンケート結果により明らかになりました。

石塚さんという方が個人で実施したアンケートなのですが、1,000人以上の地方公務員(退職者含む)から回答があったのはすごいですね。このアンケートにより、今までブラックボックスだった地方公務員の本音が統計的に明らかになりました。

Q.退職を考えているかどうか


出典元:地方公務員退職理由アンケート結果

  • 考えていない:205人(27%)
  • 考えているが行動はしていない:366人(48%)
  • 考えており転職活動中:112人(15%)
  • 辞めたくても辞められない:81人(11%)

「退職を考えているが行動はしていない」というスタンスの職員は約半数、という衝撃の結果です。この人たちが実際に行動を開始してしまったら、地方公務員は終わりなのではないでしょうか。

一方、退職を考えていない人は約4人に1人しかいません。筆者が公務員になったばかりのころは「このまま定年までずっと公務員なんだろうなぁ」と思考停止していたため、現役公務員の方々も同じような雰囲気だと予想していたのですが…。ぜんぜんそんなことはなかったですね。

当時の筆者よりもアンテナが高く
真剣に人生設計をしている人が多いようです

実際に転職活動をしている人や辞めたくても辞められない人の割合もかなりのもの。あなたの周りにも、隠しているだけで転職活動中の職員がたくさんいるということです。

少なくとも「地方公務員は離職率が低い」という数字だけを見て喜んでいる場合ではないのは明らかですね。

今後、労働環境の悪化に伴い
こうした退職予備軍の人たちがどんどん辞めていくでしょう

Q.退職(検討)理由ランキング


出典元:地方公務員退職理由アンケート結果

退職(検討)理由
1位組織が旧態依然のままで
変革が期待できそうにない
2位地方公務員を続ける意義を
見出せなくなった
3位異動先が不透明で
キャリアパスの見通しが立たない
4位マネジメント力のない
上司の下で働きづらい
5位業務内容に対する不満

 

1位~5位の理由に共通して「普段の公務員生活で感じている不満があり、今後も解消される(良い方に向かう)見込みがない」という絶望感が退職につながっていることが想像できます。

現役公務員の方は、多少なりともすべての項目にうなずくことができるのではないでしょうか。

公務員時代の筆者は「なんであの先輩は俺の10分の1の仕事量で2倍の給料もらってるんだ!」というような不公平感が強かったので、アンケートに回答した方々の平均よりも個人主義に寄った考え方なのかもしれません。

年功序列の組織から抜け出したところ
一瞬で解消されました

公務員の大量退職に関するニュース


近年では公務員の大量退職がニュースで取り上げられることが増えてきました。

国家公務員(総合職)の若手退職者数が過去最多


出典元:読売新聞オンライン

「キャリア官僚」と呼ばれる国家公務員総合職のうち、採用後10年未満の退職者が2022年度は177人に上り、現行の試験制度で入省した13年度以降で最多となったと発表した。
出典元:読売新聞オンライン

国家公務員に関しては、若手の退職者が過去最多を記録したと報道されています。それもかなり急激な伸び方ですね。

公務員の中でもトップクラスの優秀さを誇るキャリア官僚の若手職員が次々と退職を決意して組織を去っています。

かなり危機的な状況ではないでしょうか

自治体職員の自己都合退職者がこの10年で2倍に


出典元:Yahooニュース

安定した収入で人気だった自治体職員の退職が止まらない。総務省集計によると、教員や警察などを除く一般行政職のうち、2022年度に主に自己都合で仕事を辞めたのは1万2501人。13年度は5727人で、約10年で2.2倍となった。
出典元:Yahooニュース

地方公務員の自己都合退職者数が10年前の2倍以上と過去最多を記録しています。

上でもお伝えしましたが、20代若手職員の退職者数は10年前の約3倍と、全体より速いスピードで増え続けているのが現状です。将来の公務員組織を担っていくべき若手が続々と辞めていく…。

そんな組織の中で、あなたは定年まで元気に楽しく働けるでしょうか。改めて考えてみてもいいかもしれません。

公務員の離職率が増加している3つの理由


近年こんなにも公務員の自己都合退職者が増加している理由を筆者なりに分析してみました。上述のアンケート結果と異なり、データに基づいたものではないことをご了承ください。

  • 職場の人間関係によるストレス
  • 組織の体質が古く、やりがいを感じられない
  • 公務員の労働環境がブラックである

これら3つが挙げられます。

職場の人間関係によるストレス

公務員に限らず、職場の人間関係で悩む人は多いです。労働政策研究・研修機構が実施した調査結果によると、21~33歳の3割近くの人が「離職した理由」として人間関係を挙げています。

閉じた世界で何度も同じ人間と関わることの多い公務員では、特定の人間との関係性に関する悩みはより深刻になりがち。

せっかく年度末まで我慢してどちらかが異動したとしても、数年後にはまた同じ課でバッタリ…なんてことも珍しくありません。

そもそも公務員は比較的コミュニケーションが苦手でも合格しやすい職業。自治体にもよりますが、筆記試験の配点が重要視されがちですからね。

もちろん大半の職員はまともなのですが、中には問題がある人がいるのも事実。クビにもならないため、あなたの組織にも一定数そのような職員がいるのでは?。

いくら「関わりたくない」と思っても、人事異動はあなたの思いどおりにはなりません。閉鎖的で少人数の職場ほど、人間関係の悩みが深くなってしまうでしょう。

嫌いな人が身近にいると
出勤することが憂鬱になってしまいますよね

組織の体質が古く、やりがいを感じられない

公務員にはムダと思えてしまう業務や古い慣習などが今も残っています。特に若い職員からすると納得できなかったり、理不尽に感じることも多いでしょう。

筆者自身、何度も「コレ何のために必要なんだ?」「もっと効率化できるのでは?」と感じたことがあります。具体的な内容は書けませんが…。

そういった悪しき慣習に関しても、改革するのは並大抵のことではありません。公務員の業務は法律・条例・規則・要綱・要領・運用…さまざまな規則でがんじがらめになっていますからね。

「定年までずっとこんな仕事を続けるのか…」そんな閉塞感でゲンナリしている人も多いのではないでしょうか。

アンケート結果を見ても
こういった不満を持つ職員は多そうです

公務員の労働環境がブラックである

“公務員は毎日ヒマで定時帰りが当たり前”という前時代のイメージを持ったまま公務員になってしまうと、実態とのギャップで心身の健康を損なってしまったり、仕事が嫌になってしまうケースがあります。

筆者も先輩から「昔は課長なんてずっとタバコを吸いながら新聞を読んでただけだった」なんて聞いたことがありますが、それは過去の話。

昨今の行政改革による人員削減や業務の複雑化で職員1人当たりの負担は増える一方。しかしその実態は、公務員以外の人たちにはなかなか伝わりません。

結果として、実態を知らない新入職員が現実とのギャップにショックを受けるケースが多いのではないでしょうか。


一般職の国家公務員の任用状況調査を参考に作成

実際、過大な業務量・深夜まで及ぶ残業など、耐えられないほどの激務が課せられ、精神を病んでしまう職員が激増しています。

年功序列で決定される給与の額は業務量のわりに低く、割に合わないと感じる人も多いでしょう。

実際、キャリア官僚など優秀な職員が民間企業に転職すれば、待遇が上がる可能性のほうが高いはず。

今後は優秀な職員を中心に、もっと退職者が増えていくでしょう。

現在の公務員制度の問題点や、今後労働環境がブラック化する理由に関しては下記のnoteで詳しく解説しているので合わせてお読みください。

公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法


残念ですが、公務員という安定していない職業を選んだ人は、今後どんどん悪化していく労働環境と向き合っていかなくてはなりません。公務員はもはや「沈みゆく泥船」なのです。

  • ほとんど仕事をしてない人が高給取りなのはおかしい
  • 割り当てられる仕事量が、周りと比べてやたら多く感じる
  • 古くて非合理的な仕組みが多く、やりがいを感じられない

こんなふうに思ったことがある人は特に要注意。このまま思考停止で働き続けていると、悪化していく労働環境に押しつぶされ精神を病むなど人生が台無しになってしまうかもしれません。

筆者も以前は公務員が泥船であることに気づかず、「定年まで公務員なんだろう」と思考停止で過ごしていました。組織への不満や理不尽さにモヤモヤを感じながらも「社会ってこんなもん」と自分を納得させながら過ごす日々。

しかし、ある年の人事異動により状況が激変しました。理不尽な業務量により忙殺される毎日が始まったのです。周囲からの助けや理解も得られず、「なんで自分だけこんな目に合うんだろう…」とひとりで悩み続けていました。

そんな生活を続けるうち「このままでは、自分の心身が壊れてしまう」と強い危機感を抱き、自分の身を守るために行動を始め、公務員を退職するに至ったのです。

もしあのまま思考停止で公務員生活を続けていたら、今頃はどうなっていたかわかりません。かなりの高確率でうつ病などを発症していたのではないでしょうか。

定年まで健康に過ごせるとはとても思えませんでした

公務員を退職した今では、フリーランスのブロガー・ライターとして楽しくお金を稼ぎながらストレスのない生活を送っています。

ここで提案なのですが、あなたも今から対策を打っておきませんか?

あらかじめ準備をしておくことで、いざというときに選択肢を増やすことができます。精神的に追い詰められてなお公務員にしがみつき、心身の健康を損なってしまう…そんな最悪の未来を避けることができるでしょう。

各種法令による制限を受けている公務員ですが、在職中でも自分の身を守るために打てる手はあります。

  • 筆者が脱公務員を意識するようになってから始めたこと
  • 在職中は知識不足で始められず、退職後に後悔していること

下記のnote記事ではこれらについて紹介しているので、「公務員生活に不満はあるが、なにをすればいいかわからない」という人も行動を始めやすくなるでしょう。

  • 記事の前半:公務員組織の現状と将来予測
  • 記事の後半:在職中の公務員が今日から取るべき対策

記事はこのような二部構成になっています。もともとは別の記事としてリリースする予定だったものを1本にギュッとまとめました(その結果としてかなりの大ボリュームに…)。前半の情報が頭に入っていないと、後半の「対策」に取り組む人の割合がガクっと下がってしまうと考えたためです。

記事の執筆にあたっては、信頼できる公的資料をベースにするのはもちろんのこと

  • 元公務員として、内側からの視点
  • フリーランスとして、外側からの視点

この両面から分析することではじめて見えてきた内容を数多く記載しています。まずは前半部分で、あなたを取り巻く職場環境がなぜ悪化していくのかを把握してください。そのうえで、後半部分で解説している対策に取り掛かるのがおすすめです。

「泥船」という例えのとおり、行動を起こすのも実際に逃げ出すのも早い者勝ちです。早期に行動を始めることで、半年後・一年後には周りの職員と大きな差をつけることができるでしょう。

note記事の冒頭部分(2,000文字以上)は無料で読めるため、気になった人は一度ご確認ください。

無料部分では「このnoteを買うべきではない人」についても明記してあります

※販売部数が増えるごとに値上げしていく予定なので(購入していただいた方に申し訳ないので、値下げは絶対にしません)、購読するならお早めにどうぞ。

『「どんどん増えてる…」国家公務員の離職率ランキング!』のまとめ

  • 公務員における若手職員の自己都合退職者数が激増中
  • アンケート結果によると、組織の体制に関する不満が主な退職理由
  • 近年では公務員の大量退職が頻繁にニュースで報じられるようになった

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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