【最短で辞める】公務員でも即日退職できる可能性はある
こういったお悩みにお答えします。
精神的に限界を迎え、退職してしまう公務員は後を絶ちません。心身の健康を損なうほどのストレスを受けるような職場は、一刻も早く去ることが重要です。
しかし、退職に関する規定を知らず「最短でいつ退職できるのか」が判断できないと、ズルズルと地獄のような生活を送り続けることになるかも…。
この記事では
- 公務員の退職に関する法律・規程等
- 公務員でも即日退職できる可能性はある
- 年休を使用することで「実質的な即日退職」が可能
- 感情面からの引き止めは予想される
- 公務員が即日退職するときの注意点
- バックレると退職できなくなる可能性も
- 緊急時には迷わず即日退職を検討しよう
- 公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法
これらについて解説していくので、最後まで読むともう二度と嫌いな上司の顔を見ないことが可能なのかどうかがわかります。
公務員からの退職を検討している人は以下の記事も合わせてお読みください。公務員退職の現状に関する知識から実際の退職手続きまでを1記事で網羅的に理解できます。
公務員の退職に関する法律・規程等
公務員を退職するには任命権者の承認を受ける必要があり、民間企業よりも面倒です。まずは前提知識をしっかりと押さえておきたいところ。
国家公務員
国家公務員が提出する退職願についての取り扱いは人事院規則で定められています。しかし退職願の提出期限に関しては特段の制限はありません。
人事院規則8-12 第51条
任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
提出日・退職までの日数ではなく”特に支障があるかどうか”で承認するか否かが判断されます。
“特に支障がある”と判断されるケースは非常に稀で、「急な退職だから」程度の理由では該当しないでしょう。
ほとんどの職員には関係ありません
退職願が承認されない具体的なケースについては以下の記事をお読みください。
地方公務員
地方公務員一律の規程はありませんが、自治体によっては服務規程等で「退職の〇日前までに退職願を提出すること」と提出期限を定めている場合があります。この定めがある場合、直前に退職願を提出しても「服務規程違反だから」という理由で拒否されてしまう可能性が高いでしょう。
期限を無視して提出された退職願を承認してしまうと「服務規程守らなくてもいいんだ」なんて話になってしまいますからね。
自治体によってさまざまです
あらかじめ勤務している自治体の服務規程を確認しておくとよいでしょう。
提出期限を定めている具体的なケースなど、詳しくは以下の記事で解説しています。
民間企業
民間企業については民法第627条第1項で
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
と定められています。有名な「2週間ルール」ですね。
しかし、この条項は公務員を対象としていません。公務員が退職日を検討するうえで「2週間」という期間はまったく関係ないことには要注意です。
そもそも公務員は”雇用”ではなく”任用”されるもの。退職時に提出する書類も、民間では「退職届」なのに対し、公務員では「退職願」と性質が異なります。上述のとおり、公務員の場合は「退職願を届け出たらOK」というわけにはいきませんからね。
公務員でも即日退職できる可能性はある
- 国家公務員
- 服務規程に退職願の提出期限が定められていない地方公務員
このいずれかであれば「当日にいきなり退職を報告し、当日付の退職願を提出する」という即日退職が可能だと考えられます。
服務規程に提出期限を定めていれば、それを根拠に退職願を差し戻すことは可能でしょう。しかしそれ以外の場合、承認しないことに対する具体的な理由の説明が難しいはずです。
公表されている実例がないため推測にしかなりませんが、渋々であっても承認されそうな気がします。
あまり意味がありません
年休を使用することで「実質的な即日退職」が可能
ムリに即日退職を狙わなくても、退職時に余っている年次休暇を使用し「年休消化期間」を設けることで、実質的な即日退職が可能になります。
実質的な即日退職の例
- 10月1日に退職を報告+退職願を提出
- 翌日からは年休消化期間に入る
- 年休消化が終わった日=退職日とする
このように退職願を提出した日を最終勤務日とし、それ以降は年休消化期間を設けることで、休みながら退職日を延ばすことができます。仮に年休が20日余っていれば、年休消化期間は土日も合わせて1ヶ月ほどの長さになるでしょう。
この年休消化期間を設けることで、書類上は退職日の1ヶ月前に退職願を提出したという形になります。服務規程に提出期限が定められている自治体でも、ほとんどの場合は日数をクリアすることができるでしょう。
組織としても「1ヶ月後に退職したい」という内容の退職願を拒否することはまず不可能。退職できない理由は何もありません。
あなたの場合はどうなるのか計算してみましょう
大切なのは退職日ではなく最終勤務日
「今すぐ公務員を退職したい!」という人が悩んでいるのは、ほとんどの場合「もう二度と職場に行きたくない(行けない)」というものでしょう。であれば、大切なのは最終勤務日であって退職日の日付ではありません。
退職願を出した当日に退職するのではなく、その日を最終勤務日として翌日から年休消化期間に入りましょう。そして年休消化期間の最終日に退職すれば実質的な即日退職の完成です。
「年休なんて使わせてもらえないよ」と思う人もいるかもしれませんが、組織が年休取得を拒否することは不可能です。何の根拠もないただのワガママやパワハラでしかありません。
にもかかわらず、年休を余らせたまま退職してしまう公務員がたくさんいるのが現状。言いづらいのはわかりますが、退職時に年休を取得しないことによる損失額は数十万円~百万円に達することも。あなたが持っている権利を堂々と使い、賢く退職しましょう。
退職時に年休を取得する際の注意点については以下の記事で詳しく解説しています。
弁護士に依頼するのがおすすめです
感情面からの引き止めは予想される
規則の面から即日退職や実質的な即日退職を拒否するのが難しくても、感情面からは強く引き止められることが予想されます。
職員が”即日”いなくなるというのは異常事態で、実際の業務に大きな支障が出ることは間違いありません。周りの同僚からすれば、あなたの退職によって自分の負担が激増することも考えられます。
- 〇日後に提出する、この書類だけでも終わらせてから
- せめて引継ぎだけでも…
このように引き止められることは想像に難くありませんし、社会通念上も妥当でしょう。
仮にあなたの即日退職が認められたとしても、「非常識だ」「公務員として無責任だ」と思われてしまうのは仕方ありません。
余裕があるなら急な退職は避け、2ヶ月前~3ヶ月前くらいに退職の意向を伝えるのがおすすめです。
公務員が即日退職するときの注意点
あなたが即日退職or実質的な即日退職をするときは、引き継ぎを行う姿勢を見せるよう気をつけましょう。
業務上の引き継ぎは民法で定める信義則(信義誠実の原則)上の義務であると考えられています。この信義則は民法に定める基本原則。もちろんあなたにも適用され得るものです。
引き継ぎなしでの退職は民法上の不法行為(債務不履行)と解され、損害賠償の対象となる可能性があります。
あなたが引き継ぎを行わなかった場合の損害額を算定するのは容易ではなく、現実的に訴えられる可能性は低いでしょうが、「法的なリスクがある」ということは押さえておきましょう。逆に言えば「あなたが引き継ぎをしなかったことで発生した損害額」が明らかな場合は損害賠償をされ得るということですからね。
このリスクを下げるため、即日退職する人は引き継ぎ書を作成しておくのがおすすめです。「引き継ぎ書は作ってあるが、この内容では信義則に反するほど不十分であり、業務にこれだけの損害が発生した」というところまで組織が証明するのは困難(というか現実的に不可能)でしょう。
普段はあまり意識することのない民法上の信義則ですが、引き継ぎの義務に関しては特に注意しておきたいですね。
取りかかれると理想的です
バックレると退職できなくなる可能性も
いくら精神的に限界を迎えているとしても、公務員の業務をバックレるのはおすすめできません。懲戒事由である「欠勤」に該当してしまいます。
「どうせ退職するから懲戒処分なんて関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、懲戒処分を待っている状態の職員は、基本的に退職できません。
「特に支障がある」と判断されて退職願が承認されない可能性が高いです。処分逃れの自己都合退職を防ぐための処置ですね。
退職を検討している人ほど、懲戒処分を受けないように気をつけることが重要です。
緊急時には迷わず即日退職を検討しよう
もしあなたが精神的に追い詰められているような状況であれば、迷わず即日退職を検討すべきです。心身の健康を一度壊してしまうと、取り返しがつかないですからね。
退職してしまえば公務員の組織との関係はそれまで。一方であなたの心や体とは一生付き合っていかなくてはなりません。どちらが大切かは考えるまでもないでしょう。
一方、精神的・肉体的に余裕があるなら即日退職はおすすめしません。承認されるかどうかで揉める可能性が高いですし、仮に承認されてもあなたの印象がかなり悪くなってしまいます。余計なストレスも受けるでしょう。
追い詰められる前に、公務員という職業との付き合い方を考えておきたいですね。
公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法
残念ですが、公務員という安定していない職業を選んだ人は、今後どんどん悪化していく労働環境と向き合っていかなくてはなりません。公務員はもはや「沈みゆく泥船」なのです。
- ほとんど仕事をしてない人が高給取りなのはおかしい
- 割り当てられる仕事量が、周りと比べてやたら多く感じる
- 古くて非合理的な仕組みが多く、やりがいを感じられない
こんなふうに思ったことがある人は特に要注意。このまま思考停止で働き続けていると、悪化していく労働環境に押しつぶされ精神を病むなど人生が台無しになってしまうかもしれません。
筆者も以前は公務員が泥船であることに気づかず、「定年まで公務員なんだろう」と思考停止で過ごしていました。組織への不満や理不尽さにモヤモヤを感じながらも「社会ってこんなもん」と自分を納得させながら過ごす日々。
しかし、ある年の人事異動により状況が激変しました。理不尽な業務量により忙殺される毎日が始まったのです。周囲からの助けや理解も得られず、「なんで自分だけこんな目に合うんだろう…」とひとりで悩み続けていました。
そんな生活を続けるうち「このままでは、自分の心身が壊れてしまう」と強い危機感を抱き、自分の身を守るために行動を始め、公務員を退職するに至ったのです。
もしあのまま思考停止で公務員生活を続けていたら、今頃はどうなっていたかわかりません。かなりの高確率でうつ病などを発症していたのではないでしょうか。
公務員を退職した今では、フリーランスのブロガー・ライターとして楽しくお金を稼ぎながらストレスのない生活を送っています。
ここで提案なのですが、あなたも今から対策を打っておきませんか?
あらかじめ準備をしておくことで、いざというときに選択肢を増やすことができます。精神的に追い詰められてなお公務員にしがみつき、心身の健康を損なってしまう…そんな最悪の未来を避けることができるでしょう。
各種法令による制限を受けている公務員ですが、在職中でも自分の身を守るために打てる手はあります。
- 筆者が脱公務員を意識するようになってから始めたこと
- 在職中は知識不足で始められず、退職後に後悔していること
下記のnote記事ではこれらについて紹介しているので、「公務員生活に不満はあるが、なにをすればいいかわからない」という人も行動を始めやすくなるでしょう。
- 記事の前半:公務員組織の現状と将来予測
- 記事の後半:在職中の公務員が今日から取るべき対策
記事はこのような二部構成になっています。もともとは別の記事としてリリースする予定だったものを1本にギュッとまとめました(その結果としてかなりの大ボリュームに…)。前半の情報が頭に入っていないと、後半の「対策」に取り組む人の割合がガクっと下がってしまうと考えたためです。
記事の執筆にあたっては、信頼できる公的資料をベースにするのはもちろんのこと
- 元公務員として、内側からの視点
- フリーランスとして、外側からの視点
この両面から分析することではじめて見えてきた内容を数多く記載しています。まずは前半部分で、あなたを取り巻く職場環境がなぜ悪化していくのかを把握してください。そのうえで、後半部分で解説している対策に取り掛かるのがおすすめです。
「泥船」という例えのとおり、行動を起こすのも実際に逃げ出すのも早い者勝ちです。早期に行動を始めることで、半年後・一年後には周りの職員と大きな差をつけることができるでしょう。
note記事の冒頭部分(2,000文字以上)は無料で読めるため、気になった人は一度ご確認ください。
※販売部数が増えるごとに値上げしていく予定なので(購入していただいた方に申し訳ないので、値下げは絶対にしません)、購読するならお早めにどうぞ。
『【最短で辞める】公務員でも即日退職できる可能性はある』のまとめ
- ムリに当日を退職日にする必要はない
- 年休消化期間を設けることで実質的な即日退職を目指そう
- 年休を余らせたままの退職は(即日かどうかに関わらず)絶対にNG
ここまでお読みいただきありがとうございました!
公務員からの退職を検討している人は以下の記事も合わせてお読みください。公務員退職の現状に関する知識から実際の退職手続きまでを1記事で網羅的に理解できます。