「公務員を退職します」何ヶ月前までにどんな言い方で伝えるべきか
こういったお悩みにお答えします。
公務員からの退職を決めたとしても、いつ・どのような形で職場に伝えればいいのか迷いますよね。かといっていつまでも悩んでいると、伝えるのが遅くなり職場に余計な迷惑をかけてしまいます。そのせいで退職手続きがスムーズに進まないことも…。
この記事では
- 公務員が退職するときの流れ5STEP
- 公務員が退職報告するのは退職日の2~3ヶ月前がおすすめ
- 退職願の提出時期に関する規則
- 「二週間前」は民法による規定
- 【体験談】スムーズに手続きが進む退職の伝え方
- 退職時の報告で伝えるべき内容
- どうしても退職を切り出しづらいときは…
- 公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法
これらについて解説していくので、最後まで読むといつ・どのように退職を伝えるとスムーズに受け入れられるかがわかります。
2ヶ月~3ヶ月前に余裕をもって伝えるのがおすすめです
公務員が退職するときの流れ5STEP
公務員が退職するときの大まかな流れは上図のとおり。
- STEP1:直属の上司に報告
- STEP2:面談による引き止め
- STEP3:退職願の提出
- STEP4:引き継ぎ・残務処理
- STEP5:辞令交付・挨拶
退職を決意したら、まずは直属の上司に口頭で報告するところからスタートです。
それぞれのステップの詳しい解説は以下の記事をお読みください。
公務員が退職報告するのは退職日の2~3ヶ月前がおすすめ
公務員を退職するとき、上司に報告するのは退職予定日の2ヶ月前~3ヶ月前がおすすめです。その理由は以下の3つ。
- 退職が周りに受け入れられやすい
- 余裕を持った残務処理や引き継ぎができる
- 組織側が対応することができる
退職が周りに受け入れられやすい
2ヶ月前~3ヶ月前に退職の意向を伝えておくことによって、上司や同僚などの周囲から受け入れられやすくなります。
あなたの退職は周囲にとっても大問題。もしあなたの分の業務を肩代わりするとなれば、その人の業務や私生活にも大きな影響が生じます。「〇月からは残業が増えるかも…」などと家族に相談しなくてはいけない人もいるでしょう。
そのため「今週で辞めます」などと急に言われても困惑してしまうのは当然。周囲の同僚のためにも、なるべく余裕をもって退職の意向を伝えておきましょう。
余裕を持った残務処理や引き継ぎができる
2ヶ月前~3ヶ月前に退職の意向を伝えることで、あなた自身も余裕をもって退職日を迎えることができます。
退職までの期間は、通常業務に加えて引き継ぎも行わなくてはなりません。そのため、どうしても普段より忙しくなってしまうんですよね。
ムリせず引き継ぎ書を作れるように、なるべく長い時間をかけて準備できるような段取りを組みましょう。
そこまで余裕がある人は少ないでしょう
組織側が対応することができる
組織側としても2ヶ月~3ヶ月あれば業務の調整や代替要員の確保など、あなたの退職に関してある程度の対応が可能です。翌年度の人材計画の変更も間に合うかもしれません。
「どうせ退職するんだから、その後の組織のことなんて知るか」と考える人もいるかもしれませんが、あなたにとっても無関係ではありません。組織側からの引き止めや退職日までの人間関係などが変わってくる可能性がありますからね。
組織側に余裕があれば、強硬に引き止められたりせずスムーズに手続きを進められるでしょう。
引き止められる可能性が高くなります
退職願の提出時期に関する規則
退職の報告時期については法律などによる制限はありませんが、退職願の提出時期に関しては服務規程などで期限が定められているケースがあります。
国家公務員
国家公務員に関しては、退職願の提出について期限は定められていません。
退職願の取り扱いについては、人事院規則8-12 第51条で
任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
とされています。
「特に支障のない限り」と記載されていますが、これは懲戒処分逃れの防止を意味しており「急だから」という理由で退職願が承認されないことはまずあり得ません。
あなたの事情や「いつ退職するのが得になるか」などを考慮して決めればOKです。
地方公務員
地方公務員の場合、所属している自治体によって制限の有無が異なります。一部の自治体では、服務規程等で退職願の提出期限が定められているケースも。
一宮市(30日前)
第16条 職員は、退職しようとするときは、原則として退職しようとする日の30日前までに退職願を提出しなければならない。
出典元:一宮市職員服務規則
春日井市(2週間前)
第24条 職員は、退職しようとするときは、遅くとも2週間前までに退職願(第11号様式)を市長に提出しなければならない。
出典元:春日井市職員服務規程
東京都(10日前)
第十四条 職員は、退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日の十日前までに、退職願を提出しなければならない。
出典元:東京都職員服務規程
バラつきはあるものの長くても1ヶ月以内の範囲で退職願の提出期限が定められています。
この期限を守らないと、服務規程違反を根拠に退職願が承認されないことが予想されます。所属している自治体の規程をあらかじめ確認しておきましょう。
年休が余っていれば気にする必要はない
服務規程に提出期限の定めがあったとしても、年休が余っている人にとってはあまり問題にならないでしょう。
退職時に余っている年次休暇を消化しようとすると、退職願の提出日から実際の退職日まではかなり期間が空くはず。
仮に年休が20日余っている人が10/1に退職届を提出して年休消化期間に入った場合、書類上の退職日は年休消化が終わる10月下旬になります。
この場合、退職日より1ヶ月近く前には退職願を提出していることになるので、服務規程の日数制限をクリアすることができます。
服務規程の期限が問題になるのは「すぐに退職したい!でも年休は使い切っている」というケースでのみ。ほとんどの人は年休が余っているでしょうから、気にしなくて良さそうです。
なお、退職時の年休消化については以下の記事で詳しく解説しています。
「二週間前」は民法による規定
退職願の提出に関して「二週間前に提出するべき」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。
しかし、これはあくまで民間企業の社員に関する民法上の制限。公務員には無関係なので惑わされないように気をつけましょう。
民法第627条第1項では
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
このように定められているため、民間企業では”退職届”を提出後2週間が経過すれば雇用契約の解約が可能となります。これが二週間ルールの正体ですね。
一方、公務員は上記の対象外。公務員は”雇用”されているわけではありませんし、退職時には”退職願”(届ではない)を提出し任命権者の承認を受けることが必要です。
公務員の退職時には、上記の二週間ルールを気にする必要はありません。
【体験談】スムーズに手続きが進む退職の伝え方
退職の伝え方としては、まず直属の上司に口頭で報告しましょう。組織の構造上、上司を飛び越えて退職の報告が上がるとめんどくさい状況になってしまう可能性があります。
直属の上司と仲が悪くそれが周知の事実である場合は、直属の上司を飛ばして一つ上の上司に伝える…くらいは許容されるかもしれませんが。
もし面と向かって報告するのが難しい場合は電話やメールなどでもいいでしょう。上司と二人になろうとすると、意外とめんどくさいんですよね。職場では常に周りの目がありますし、わざわざ会議室を取るのも大変です。
もう1回は電話で報告しました
このとき、いきなり退職願を提出するのはあまりおすすめできません。退職日などに関して調整が入り、結果として書き直すことになる可能性があるためです。
余計な手間を省くためにも、まずは口頭で報告することは覚えておきましょう。
退職時の報告で伝えるべき内容
報告時には、退職理由をできるだけ詳細に伝えるのがおすすめです。
退職理由の伝達は義務ではありませんが、曖昧にしておくとしつこく引き止められる原因になることも。
組織側としては、理由がわからなければ「引き止められるんじゃないか」「もう少し長く勤務してくれるんじゃないか」と考えてしまいます。
反対に「△月□日から〇〇という企業に転職が決まりました」などとはっきり宣言されてしまっては、引き止めるのも難しいですよね。「△月□日以降まで勤務してもらうのはムリだな…」ということが明白なため、ムリに退職時期を調整されることもないでしょう。
明確に理由を報告しておくと、めんどくさい調整や引き止めを回避できるかもしれません。
退職時の引き止めを回避する方法や注意点については以下の記事で詳しく解説しています。
どうしても退職を切り出しづらいときは…
- 退職を報告しても無視される
- 上司が退職願を受理してくれない
- 退職時に年休を使い切らせてくれない
こんな人は弁護士が運営する退職代行サービスを利用して、年休をすべて使い切りつつスムーズに退職するのがおすすめです。弁護士であれば退職願の作成・提出や年休取得などの交渉も可能。
- もう二度と職場に行きたくない
- 退職手続きでストレスを受けたくない
- 自分の権利はしっかりと行使したい
こんな悩みを解決してくれるでしょう。
この退職代行は自力では年休を取得させてもらえない人には必須のサービス。公務員の給料は日割り計算で支給されるため、年休1日=1万円くらいの価値があります。年休を20日使うことで月給(20~30万円)くらいの収入になりますからね。
20日の年休を余らせたまま辞めるのは、30万円をドブに捨てる行為と同じなのです。
「5万円の退職代行サービスを使うと、手間とストレスが減るうえに30万円もらえるよ」という状況だったら…利用しないと大損してしまうのは考えるまでもありません。
転職するにせよ一旦休むにせよ、公務員退職後はなにかとお金が必要なもの。あなたが持っている権利はしっかりと使い切って賢く退職しましょう。
なお世の中には似たような退職代行サービスがたくさんありますが、公務員が利用できるのは「弁護士が運営するもの」一択です。民間業者・労働組合が運営するサービスでは、退職願の作成や年休取得の交渉をすることができませんからね。
公務員が退職代行サービスを利用するときの注意点については以下の記事で詳しく解説しています。
公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法
残念ですが、公務員という安定していない職業を選んだ人は、今後どんどん悪化していく労働環境と向き合っていかなくてはなりません。公務員はもはや「沈みゆく泥船」なのです。
- ほとんど仕事をしてない人が高給取りなのはおかしい
- 割り当てられる仕事量が、周りと比べてやたら多く感じる
- 古くて非合理的な仕組みが多く、やりがいを感じられない
こんなふうに思ったことがある人は特に要注意。このまま思考停止で働き続けていると、悪化していく労働環境に押しつぶされ精神を病むなど人生が台無しになってしまうかもしれません。
筆者も以前は公務員が泥船であることに気づかず、「定年まで公務員なんだろう」と思考停止で過ごしていました。組織への不満や理不尽さにモヤモヤを感じながらも「社会ってこんなもん」と自分を納得させながら過ごす日々。
しかし、ある年の人事異動により状況が激変しました。理不尽な業務量により忙殺される毎日が始まったのです。周囲からの助けや理解も得られず、「なんで自分だけこんな目に合うんだろう…」とひとりで悩み続けていました。
そんな生活を続けるうち「このままでは、自分の心身が壊れてしまう」と強い危機感を抱き、自分の身を守るために行動を始め、公務員を退職するに至ったのです。
もしあのまま思考停止で公務員生活を続けていたら、今頃はどうなっていたかわかりません。かなりの高確率でうつ病などを発症していたのではないでしょうか。
公務員を退職した今では、フリーランスのブロガー・ライターとして楽しくお金を稼ぎながらストレスのない生活を送っています。
ここで提案なのですが、あなたも今から対策を打っておきませんか?
あらかじめ準備をしておくことで、いざというときに選択肢を増やすことができます。精神的に追い詰められてなお公務員にしがみつき、心身の健康を損なってしまう…そんな最悪の未来を避けることができるでしょう。
各種法令による制限を受けている公務員ですが、在職中でも自分の身を守るために打てる手はあります。
- 筆者が脱公務員を意識するようになってから始めたこと
- 在職中は知識不足で始められず、退職後に後悔していること
下記のnote記事ではこれらについて紹介しているので、「公務員生活に不満はあるが、なにをすればいいかわからない」という人も行動を始めやすくなるでしょう。
- 記事の前半:公務員組織の現状と将来予測
- 記事の後半:在職中の公務員が今日から取るべき対策
記事はこのような二部構成になっています。もともとは別の記事としてリリースする予定だったものを1本にギュッとまとめました(その結果としてかなりの大ボリュームに…)。前半の情報が頭に入っていないと、後半の「対策」に取り組む人の割合がガクっと下がってしまうと考えたためです。
記事の執筆にあたっては、信頼できる公的資料をベースにするのはもちろんのこと
- 元公務員として、内側からの視点
- フリーランスとして、外側からの視点
この両面から分析することではじめて見えてきた内容を数多く記載しています。まずは前半部分で、あなたを取り巻く職場環境がなぜ悪化していくのかを把握してください。そのうえで、後半部分で解説している対策に取り掛かるのがおすすめです。
「泥船」という例えのとおり、行動を起こすのも実際に逃げ出すのも早い者勝ちです。早期に行動を始めることで、半年後・一年後には周りの職員と大きな差をつけることができるでしょう。
note記事の冒頭部分(2,000文字以上)は無料で読めるため、気になった人は一度ご確認ください。
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『「公務員を退職します」どんな言い方で何ヶ月前までに伝えるのか解説』のまとめ
- 退職の報告も退職願の提出も一律の決まりはない
- 服務規程で退職願の提出時期を定めている自治体もある
- 直属の上司に口頭で報告することから始めよう
法律などで定められていないとはいえ、スムーズに退職するためには2~3ヶ月前に報告しておきたいところ。突然の退職だと、そのぶん組織からの反発が強くなってしまいます。
退職願については服務規程で提出期限が定められていないかを確認しておきましょう。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
公務員の退職手続きの流れ【5STEP】について詳しくは以下の記事で解説しています。